究極の圧縮プログラムTHcomp

いまでもときどき冗談のタネに使われているようで。


注: このテキストは1998年に書かれたものです。 (2004/08/17)

いま

このページをみているあなたなら、情報圧縮のテクノロジーには毎日のように多大な恩恵を受けているはずだ。 ハードディスクは圧縮ファイルシステムで2倍の広さ。 プロバイダにつなげているモデムの通信プロトコルは当然のようにデータ圧縮つき。 ダウンロードするフリーソフトやシェアウェアの形態は圧縮アーカイブ形式。 あちこちのページに貼りついてるjpegの画像だって一種の圧縮データだ。

でも「恩恵を受けているなあ」と意識することはほとんどないに違いない。 圧縮せずともハードディスクはGバイト単位、モデムは56Kボー、 アーカイブファイルはクリックすりゃ展開でドロップすりゃ圧縮。 10年前に比べると何もかもがお気楽ごくらくだ。

10年前。

あの頃は数百バイトの差が切実だった。ハードディスクは10Mバイト単位。 モデムは1200や2400ボー。 電子掲示板の毎回表示される場所に10行書いただけで迷惑がられた。 フリーソフトの転送はテキスト形式。MS-DOSユーザ中心のBBSでは ネットワーカー達が「ish/s形式だとMNPの圧縮が効きにくいからish/7形式がいい」 といったじつに貧乏くさい議論をまじめにしていた。そしてもちろんアーカイバの圧縮効率は大きな話題のひとつだった。

苦労してたのはアマチュアだけじゃない。CDROMなんか普及してない時代だ。 ソフトはみんなフロッピーディスク。2枚におさまるか3枚になるかで パッケージの原価が大きくかわる。フリーソフトのPKARCやLHarcに感謝した ソフトハウスがいくつもあったはずだ。

他にもいろいろな圧縮アーカイバがあった。ARC、PKPAK、ZOO、DWC、ARJ、…たくさんのアーカイバがメジャーを目指して競っていた。 パソコン雑誌でも比較記事が特集されて「ATOKの辞書を圧縮してそれぞれが何バイトになるか・何秒かかるか」なんて表が載ったりした。 その競争をぼくらは固唾をのんで見守っていた。 自分のひいきをその他と勝負させ、数十バイトの差に一喜一憂していた。 そしてバージョンアップしたとかニューフェイスが出たという噂をききつけると、すぐに あちこちのBBSを探しまわって手にいれようとしたものだ。

β版である・出どころがあやしい・転載条件に自信がない・まず仲間内で賞味したい などの理由から、最新のソフトは「テスト用」や「練習用」の掲示板に さりげなく置かれることが多かった。そういう場所はどのBBSでも常連のアングラなサロンとして使われており、置いたソフトに関する議論もそこで行われることが多かった。

そんなある日、

あるBBSのテスト用掲示板で、秘密めかした奇妙なやりとりがはじまった。それ自体は見慣れた光景だったのだが…。



注意

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